日本の排出ガス法規制
我が国の排出ガス規制の概要
更新:2014年12月17日
いろいろな用途に使われているエンジンに対し、その使い方に合わせた排出ガス低減の方策がとられています。
エンジンの使用される目的全体から排出ガス規制の有無とそのレベルを設定する法規の現状は以下の表に示す通りです。
使用目的 | 定置用 (大規模) |
定置用 (小規模) |
陸用 (搭載用) |
自動車 | 鉄道 | 航空機 | 船舶 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
法規制の有無 | あり | なし (一部は下記に示す「小規模低NOx機器」に対するガイドラインが国により設定) |
別途記載 | あり | なし | なし | あり |
レベル設定 | 大防法 | 別途記載 | 大防法 | 国際海事機関の規制基準を国内法でも適用 |
陸用エンジン(定置用)に適用される排出ガス法規制
大気汚染防止法に基づいた定置用エンジンに対する規制
工場や事業場において発電用、暖冷房用、空気圧縮用などに使われるエンジンは、施設の設備として恒久的に設置されるので「定置用エンジン」と呼ばれます。このエンジンのうち、規模の大きなものが大気汚染防止法に基づいて下表のように規制されています。
大気汚染防止法で定める定置用エンジンへの規制値(ばいじんの規制値は省略) | |||
種別 | シリンダー内径 | 燃料の燃焼能力 (リットル/時間) |
NOX規制値 |
---|---|---|---|
ガス・ガソリン機関 | - | 重油換算35以上 | 600ppm(O2=0%) |
ディーゼル機関 | 400mm以上 | 重油換算50以上 | 1200ppm(O2=13%) |
400mm未満 | 950ppm(O2=13%) |
なお、定置用のエンジンに対し一定の条件を満たした場合、都道府県等の地方自治体により規制値の低減。規制対象の拡大など、上の表に示す以外にも規制強化も追加されています。詳細は以下の資料にとりまとめています。入手方法などは下記リンクをご参照ください。
低NOx型小形燃焼機器からの排出に対するガイドライン
更新:2024年12月1日
小規模な定置用機器は、上記の大気汚染防止法による規制の対象ではありませんが、平成8年に低NOx型小形燃焼機器の推奨ガイドラインが国(環境省)により発行され、平成21年(2009年)にその一部が変更されています。これに伴い下記のようにガイドラインの運用方法も環境省より発行されています。ガイドラインの対象となっている機器の内、ガスエンジン及びガスエンジンを使う機器については陸内協においてガイドラインに基づく判定基準を満たす製品が普及するよう協力しています。その活動の一環としてGHP(ガスエンジンを動力源とするヒートポンプ式の冷暖房機)でのガイドラインの基準適用状況をとりまとめた資料を発行しており、下記リンクに最新のものを掲載します。
ガイドラインに基づく小規模低NOx機器の判定基準 | ||
使用機器 | エンジンの種類と燃料の燃焼能力 | NOx推奨値 |
---|---|---|
GHP以外 | 燃焼能力重油換算35リットル/時間未満のガスエンジン | 300ppm(O2=0%) |
GHP | 燃焼能力重油換算10リットル/時間未満のガスエンジン | 100ppm(O2=0%) |
陸用エンジン(搭載用)に適用される排出ガス法規制
誤記訂正:2016年5月13日
種々のの機械の原動力として、機械に搭載されて、その機械の作業や機械自体の移動のための原動力となるエンジンに対する排出ガス規制は、その搭載される機械の規模や性質によって規制する方法が異なります。エンジンからの排出ガスの量や性状などが、使う機械の運転される様式で変化するものであり、実情に合わせた最も効果的な排出ガス規制を実施する必要があるからです。
搭載機械 (使用される機械) |
陸用エンジン(搭載用) | 自動車 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
可搬形機械 (携帯形、非携帯形) |
公道を走行しない | 公道を走行する | ||||
19<kW | 19≧kW | 19<kW | 19≧kW | |||
レベル設定 | なし | なし | 大防法 | なし | 大防法 | 大防法 |
規制法規 | なし | なし | オフロード法 (特定特殊自動車として) |
なし | 車両法 (特殊自動車として) |
車両法 (普通自動車、小型自動車、軽自動車など) |
陸内協 自主規制 |
対象 | 対象 | なし | 対象 | なし | なし |
我が国の法律では、搭載されたエンジンによって陸上を移動する機械を自動車と呼ぶことになっています。一般の自動車(普通自動車、小型自動車、軽自動車)以外の特殊自動車や特定特殊自動車等の自動車に搭載されるエンジンと、発電機セットのような可搬形機械に使うエンジンをここでは陸用エンジンと呼びます。
特殊自動車とは、農業用のトラクターとか、フォークリフトのような一般の公道を走行することもある自動車です。特定特殊自動車には一般の公道を走行しないブルドーザーとか、クローラーを装備したクレーンなどがあります。現在出力が19kW以上のエンジンを使う特殊自動車と特定特殊自動車とは、大気汚染防止法に基づいて排出ガス規制の基準値が定められ、特殊自動車に搭載される場合は道路運送車両法で、また特定特殊自動車に搭載される場合は特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律で取り締まられることになっています。
また、出力8kW以上のディーゼルエンジンを使う建設機械に対し、国土交通省直轄工事においては排出ガス対策型建設機械指定制度で指定された建設機械の使用することが原則とされています。
刈払機やチェンソー、携帯発電機やエンジン空気圧縮機、エンジン溶接機などエンジンを動力源とする可搬形機械に使われているエンジンは大防法(大気汚染防止法)や車両法(道路運送車両法)及びオフロード法(特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律)の規制対象ではありません。また、上記の特殊自動車と特定特殊自動車に搭載されるエンジンであっても、その出力が19kW未満のものは大防法や車両法及びオフロード法の規制対象とはなりません。
陸内協では、規制対象外であるこれら19kW未満のガソリンエンジンに対して2003年より、同じく19kW未満のディーゼルエンジンに対しては、2006年より、欧米で適用されている排出基準レベルを使った自主規制を実施しています。
陸用エンジンに適用される我が国の排出ガス法規制
我が国の法規制の構造
陸用エンジンの内、移動発生源であるものに適用される我が国の法規制は次の表の着色部です。
搭載機械 (使用される機械) |
陸用エンジン(搭載用) | 自動車 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
可搬形機械 携帯形・非携帯形・発電機・圧縮機 |
公道を走行しない | 公道を走行する | ||||
出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
|||
レベル設定 | なし | なし | 大防法 | なし | 大防法 | 大防法 |
規制法規 | なし | なし | オフロード法 (特定特殊自動車として) |
なし | 車両法 (特殊自動車として) |
車両法 (普通自動車、小型自動車、軽自動車など) |
陸内協 自主規制 |
対象 19kW未満 |
対象 19kW未満 |
なし | 対象 19kW未満 |
なし | なし |
凡例:
■=我が国の法律、すなわち大防法に基づく基準に対して、車両法又はオフロード法で規制されるエンジン
搭載用の陸用エンジンの排出ガスに対する排出基準は、一般の自動車と同じく大気汚染防止法(略称:大防法)に基づいて環境大臣が定めることになっています。この排出基準については、環境基本法に基づいて設置されている中央環境審議会が「排出ガス低減対策のあり方」として環境大臣に答申した内容により定められることになっています。
我が国で法規制の対象となる陸用エンジンは「特殊自動車」と「特定特殊自動車」です。「特殊自動車」とは、ショベルローダ、タイヤローラ、ロード・ローラ、グレーダ、ロードスタビライザ、スクレーパ、ロータリ除雪自動車、アスファルトフィニッシャ、タイヤドーザ、モータスイーパ、ダンパ、ホイール・ハンマ、ホイールブレーカ、フォークリフト、フォークローダ、ホイールクレーン、ストラドルキャリヤ、ターレット式構内運搬自動車、その他の指定構造の自動車であると道路運送車両法に定められていますが、普通自動車、小型自動車、軽自動車などではない自動車と言うこともできます。「特定特殊自動車」とは、特殊自動車と同じように搭載されたエンジンで移動するものでありますが、道路での使用を目的としない、すなわち、道路外での使用を目的とする機械です。該当する機械に取り付けられたエンジンで目的とする作業を行うとともに、そのエンジンが取り付けられた機械自体を動かすのが特徴です。
規制を制定する場合には、中央環境審議会の答申に基づいて環境大臣が特殊自動車や特定特殊自動車を一定条件で使用する場合にエンジンから大気中に排出される排出ガスの量の許容限度の基準を定め、特殊自動車に対しては道路運送車両法(略称;車両法)により、また特定特殊自動車に対しては特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(略称:オフロード法)により、技術上の基準を定めて、これらの自動車を規制します。
陸用エンジンからの排出ガスに対する法規制
平成18年制定された特殊自動車及び特定特殊自動車に対する排出ガス規制
誤記訂正:2019年11月18日
国の中央環境審議会は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンとガソリン又はLPGを燃料とする火花点火エンジンを搭載する特殊自動車及び特定特殊自動車のうち出力19kW以上560kW未満のエンジンからの排出ガス規制を導入するよう平成15年6月に環境大臣に答申しました。
この答申を元に軽油を燃料とするディーゼルエンジンについては、環境省が「自動車排出ガスの量の許容限度」の一部改正告示を公布し、国土交通省は「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(略称:細目告示)」の告示を改正して,試験方法として細目告示の「別添43 ディーゼル特殊自動車8モード排出ガスの測定方法」が制定され、またガソリン・液化石油ガス特定特殊自動車には細目告示の別添103が適用され、更に「道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」等が公布され、下表の規制が導入されました。
種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | ディーゼル黒煙 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
CO | NMHC | NOx | PM | ||||
ディーゼル特殊自動車及び 特定特殊自動車 (8モード) |
19kW以上37kW未満 | H19(2007)年10月1日 | 5.0 | 1.0 | 6.0 | 0.40 | 40% |
37kW以上56kW未満 | H20(2008)年10月1日 | 5.0 | 0.7 | 4.0 | 0.30 | 35% | |
56kW以上75kW未満 | H20(2008)年10月1日 | 5.0 | 0.7 | 4.0 | 0.25 | 30% | |
75kW以上130kW未満 | H19(2007)年10月1日 | 5.0 | 0.4 | 3.6 | 0.20 | 25% | |
130kW以上560kW未満 | H18(2006)年10月1日 | 3.5 | 0.4 | 3.6 | 0.17 | 25% |
ガソリン・液化石油ガス特定特殊自動車には試験法として細目別添103が適用されることになり、以下の表に示す基準に基づいた排出ガス規制が適用されることになりました。
種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | |||
---|---|---|---|---|---|
CO | HC | NOx | |||
ガソリン又はLPG特殊自動車及び 特定特殊自動車(7モード) |
19kW以上560kW未満 | H19(2007)年10月1日 | 20.0 | 0.60 | 0.60 |
また、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」にもとづいて平成18年(2006年)3月に告示された「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関して必要な事項を定める告示」によりディーゼル特定特殊自動車及びガソリン・液化石油ガス特定特殊自動車の規制適用が制定され、また、試験法に関して、ディーゼル特定特殊自動車には細目告示別添43が、また、ガソリン・液化石油ガス特定特殊自動車には細目別添103が適用されることが定められました。この特定特殊自動車としての排出ガス規制の基準など主要な内容は上記の特殊自動車に対する排出ガス規制に対するものと同じです。
平成22年に制定された規制(中央環境審議会の平成20年答申による)
表題変更:2019年11月13日
出力19kW以上560kW未満のディーゼルエンジンを搭載する特殊自動車及び特定特殊自動車の排出ガス規制については、中央環境審議会が平成20年(2008年)1月に,規制値基準の強化と試験方法の改正を答申しました。この答申では、炭化水素に対する排出基準は非メタン炭化水素に対する基準に変更され、試験モードとしては、定常の8モードに加えて、過渡状態を試験するNRTCモードを適用することとしました。
規制における試験法については、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(略称:細目告示)」が平成22年(2010年)3月に改正されるとともに、細目別添43「ディーゼル特殊自動車排出ガスの測定方法」が全面改正されました。この試験方法の全面改正は中央環境審議会が答申の中で、我が国の方針として、「我が国の環境保全上支障がない範囲内において、可能な限り基準等の国際調和を図ることが望まれている。したがって、現在、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(UN-ECE/WP29)において進められている試験方法等の国際基準調和活動に積極的に貢献し、可能な範囲で、国際的な基準調和を図るべき」ことを示したことに基づいています。このたび制定された改正別添43は、国連において検討されてきた世界技術基準(Global Technical Regulation No.11、又はNRMM gtrとも呼ばれる)の内容を採用しました。これは、国連において策定を進められているいくつかの世界基準(gtr)の中で、日本において最初に規制法規としてに取り入れられたものです。
このようにして、ディーゼル特殊自動車に対しては、平成22年(2010年)3月に告示された「道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」により、また、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」にもとづいて、同じ平成22年(2010年)3月に告示された「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関して必要な事項を定める告示」によりディーゼル特定特殊自動車に対する規制が下記のように適用されることになりました。
種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | ディーゼル黒煙 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
CO | NMHC | NOx | PM | ||||
ディーゼル (8モード定常及びNRTC過渡) |
19kW以上37kW未満 | H25(2013)年10月1日 | 5.0 | 0.7 | 4.0 | 0.03 | 25% |
37kW以上56kW未満 | H25(2013)年10月1日 | 5.0 | 0.7 | 4.0 | 0.025 | 25% | |
56kW以上75kW未満 | H24(2012)年10月1日 | 5.0 | 0.19 | 3.3 | 0.02 | 25% | |
75kW以上130kW未満 | H24(2012)年10月1日 | 5.0 | 0.19 | 3.3 | 0.02 | 25% | |
130kW以上560kW未満 | H23(2011)年10月1日 | 3.5 | 0.19 | 2.0 | 0.02 | 25% |
平成26年に制定された規制(中央環境審議会の平成20年答申による)
誤記訂正:2019年11月13日
平成20年1月の中央環境審議会の答申には、ディーゼルエンジンを搭載する特殊自動車及び特定特殊自動車の排出ガス規制として、上述の2011~2013年達成の目標(その1)に加えて、2014~2015年達成を目標とするもの(その2)が含まれています。また、平成24年8月には中央環境審議会が、試験方法について、現状の別添43を更に改正し、定常運転する場合のディーゼルエンジンからの排出ガスを測定するに当たり、現在適用しているISOのC1相当サイクル(ディスクリートサイクル)に代えて適用できるものとしてRMCサイクル(Ramped Modal Cycle)を追加導入すること、エンジンから放出されるブローバイガスについて,エンジンの構造をブローバイガスが大気放出しないものとするか、又はブローバイガスに含まれる成分も排出ガスとして評価するかの方法を採用すること等を環境大臣に答申しました。
この答申に基づいて、平成26年1月に「道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」及び「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関して必要な事項を定める告示」の改正告示により下表の規制が正式に公布されることになりました。また、同日に公布された「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の改正により「試験方法についても国連の基準調和世界フォーラムが策定したNRMM gtrをベースにした別添43の内容と国連の定めたgtrとの整合性が更に高められることになりました。
種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | 光吸収係数 (m-1) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
CO | NMHC | NOx | PM | ||||
ディーゼル (8モード・ディスクリート又はRMCサイクル及び過渡モードNRTC) |
19kW以上37kW未満 * | H28(2016)年10月1日 | 5.0 | 0.7 | 4.0 | 0.03 | 0.50 |
37kW以上56kW未満 * | H28(2016)年10月1日 | 5.0 | 0.7 | 4.0 | 0.025 | 0.50 | |
56kW以上75kW未満 | H27(2015)年10月1日 | 5.0 | 0.19 | 0.4 | 0.02 | 0.50 | |
75kW以上130kW未満 | H27(2015)年10月1日 | 5.0 | 0.19 | 0.4 | 0.02 | 0.50 | |
130kW以上560kW未満 | H26(2014)年10月1日 | 3.5 | 0.19 | 0.4 | 0.02 | 0.50 |
注)*印については、その1:2011~2013年適用開始」から排出ガス基準の値は変更されていません。
令和6年に制定された規制(中央環境審議会の令和2年答申「第14次」による)
新規追加:2024年7月22日
国の中央環境審議会は、ガソリン・液化石油ガス(LPG)を燃料とする火花点火エンジンを搭載する特殊自動車及び特定特殊自動車の排出ガス規制について、規制値基準の強化と試験方法の改正について令和2年(2020年)8月に答申しました。試験方法の改正については現状の別添103を全面改正し、ガソリン・LPGエンジンからの排出ガスを測定するに当たり、現在適用しているISOの定常運転7モードサイクル(ディスクリートサイクル)に代えて適用できるものとしてRMCサイクル(Ramped Modal Cycle)を追加導入すること、また過渡状態を試験するものとして欧米の規制と同じLSI-NRTCモードが新たに追加されました。加えてエンジンから放出されるブローバイガスについて、エンジンの構造をブローバイガスが大気放出しないものとすることが義務付けられました。
この答申に基づいて、令和3年(2021年)8月に環境省により「自動車排出ガスの量の許容限度」の一部改正告示が公布され、令和6年(2024年)1月に国土交通省により「道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」及び「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の改正告示が公布され、下表の規制が正式に施行されることになりました。
種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | |||
---|---|---|---|---|---|
CO | HC | NOx | |||
ガソリン又はLPG特殊自動車及び特定特殊自動車(7モード・ディスクリート又はRMCサイクル及び過渡モードLSI-NRTC) | 19kW以上560kW未満 | 令和6(2024)年10月1日 | 15.0 | 0.60 | 0.30 |
令和9年末までに施行予定の規制(中央環境審議会の令和6年答申「第15次」による)
新規追加:2024年11月7日
令和6年9月25日付けで国の中央環境審議会は「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十五次答申)」を取り纏め、環境大臣へ提出しました。この答申では軽油を燃料とする出力19kW以上560kW未満のディーゼルエンジンを搭載する特殊自動車からの排出ガス規制について、従来規制である微小粒子状物質(PM)の重量規制値強化に加え、新たにPN(PMの粒子数)規制を追加し、令和9年(2027年)末までに適用を開始するとしています。
自動車の種別 | 許容限度目標値(平均値) | |
---|---|---|
PM(g/kWh) | PN(個/kWh) | |
軽油を燃料とする特殊自動車であって、定格出力が19kW 以上560kW 未満のもの | 0.015 | 1x1012 |
建設機械からの排出ガス排出に適用される法規制
国土交通省直轄工事においては排出ガス対策型建設機械指定制度で指定された建設機械を使用することが原則とされています。対象となるのは出力8kW以上のディーゼルエンジンを使う建設機械です。制度の詳細は、国土交通省告示及び関連団体などへの通達で定められています。
搭載機械 (使用される機械) |
陸用エンジン(搭載用) | 自動車 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
可搬形機械 携帯形・非携帯形・発電機・圧縮機 |
公道を走行しない | 公道を走行する | ||||
出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
|||
レベル設定 | なし | なし | 大防法 | なし | 大防法 | 大防法 |
規制法規 | なし | なし | オフロード法 (特定特殊自動車として) |
なし | 車両法 (特殊自動車として) |
車両法 (普通自動車、小型自動車、軽自動車など) |
建設機械 指定制度 |
ディーゼル 8kW以上 |
ディーゼル 8kW以上 |
ディーゼル | |||
陸内協 自主規制 |
対象 19kW未満 |
対象 19kW未満 |
なし | 対象 19kW未満 |
なし | なし |
建設機械指定制度適用対象を除く |
凡例:
■=我が国の法律、すなわち大防法に基づく基準に対して、車両法又はオフロード法で規制されるエンジンを示す。
■=排出ガス対策型建設機械指定制度の対象となるエンジンを示す。
■=オフロード法の規制対象となるエンジンは、建設機械指定制度の対象とならない。