排出ガス自主規制
自主規制の概要
更新:2019年5月24日
陸内協の掲げる環境対応の目標に対する施策として、出力が19kW未満の火花点火エンジンとディーゼルエンジンに対して、陸内協として自主的な排出ガス規制を実施しています。この陸内協自主規制が日本における排出ガス規制に対する法規制を補っている状況は下表に示すとおりです。
搭載機械 (使用される機械) |
陸用エンジン(搭載用) | 自動車 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
可搬形機械 (携帯形、非携帯形) |
公道を走行しない | 公道を走行する | ||||
19<kW | 19≧kW | 19<kW | 19≧kW | |||
レベル設定 | なし | なし | 大防法 | なし | 大防法 | 大防法 |
規制法規 | なし | なし | オフロード法 (特定特殊自動車として) |
なし | 道路運送車両法 (特殊自動車として) |
道路運送車両法 (普通自動車、小型自動車、軽自動車など) |
陸内協 自主規制 |
対象 | 対象 | なし | 対象 | なし | なし |
自主規制に適用される規定や基準値などは、原則としてアメリカの同種のエンジンに対するものを導入しており、欧州連合も同様にアメリカに合わせた法規制を施行しているため、国際的に整合した基準となっています.このような状況について、国の中央環境審議会では平成17年及び平成20年等の答申において、この範囲のエンジンは当面の間、業界の自主的取組みが着実に行われていることを望むとして、国からも正当な位置づけがなされています。
この自主規制は、2003年から火花点火エンジンを対象に開始し、2014年からは携帯用火花点火エンジンに対するアメリカの3次やヨーロッパの5次規制に相当する陸内協としての3次自主規制の導入を開始し,順次非携帯用エンジンにも適用されました。また、2006年からはディーゼルエンジンにも自主規制を導入し、現在アメリカの4次規制に相当する陸内協としての2次自主規制を適用しています。自主規制に当たって、各エンジン型式に対する排出ガス量の測定法や事務局へのデータ届けの書式など関連する事項を規定として作成・発行しています。エンジンの製造会社は、この規定に基づいて自社で測定し、その結果を陸内協に提出します。届け出たデータの集計や総括は陸内協事務局が行い、状況把握に活用すると共に、主要なデータを対外的に広報するなど自主規制制度の透明化のために活用しています。
自主規制の対象である小形汎用火花点火エンジンの用途は、小形・軽量という特徴を生かして、主に小形の農林機械、産業機械、電気機械及びレジャー・家庭用機械等で使用されています。もう一つの自主規制の対象である小形汎用ディーゼルエンジンは、農業機械、建設機械、産業機械に搭載され、また可搬形発電機等にも使用されています。
自主規制の適合ラベル
更新:2019年5月24日
自主規制は陸内協が自主的に実施しており、この規制に参加するのは陸内協の会員です。エンジンを出荷する会員は、そのエンジンが自主規制の要件に準拠していることを示すため、右に示すデザインのカラー版かモノクロ版のいずれかの自主規制ラベルを貼り付けなければなりません。
なお、陸内協自主規制と同等なレベルのアメリカEPAやCARB及びEUの排出ガス規制に準拠していることを示す規制適合ラベルを貼り付けているエンジンは、陸内協による適合ラベルを貼り付けずに出荷できます。
自主規制の規制基準
更新:2018年04月11日
火花点火エンジン
汎用火花点火エンジンに対する自主規制は2003年1月から開始し、2014年より携帯機器用に、2015年より非携帯機器用(225cc以上)に、2016年より非携帯機器用(225cc未満)におのおの下記の3次規制が適用されています。
現行規制 (2014年より順次適用) |
排気量(cc) | 規制基準値(g/kWh) | 試験モード | |
---|---|---|---|---|
HC+NOx | CO | |||
携帯機器用 (3次規制) 出力 19kW未満 |
20未満 | 50 | 805 | 2モード |
20以上、50未満 | 50 | 805 | ||
50以上 | 72 | 603 | ||
非携帯機器用 (3次規制) 出力 19kW未満 |
225未満 | 10.0 注1、注2 | 610 | 6モード |
225以上 | 8.0 | 610 |
- 排気量80cc以下のエンジンは、非携帯機器用エンジンであっても各エンジンクラス毎に設定された携帯機器用エンジンの排出ガス規制値を適用します。
- 排気量80ccを超え140cc未満エンジンに対するHC+NOx基準値は3次規制導入当初は暫定的に13.1 g/kWhを適用してきましたが、この暫定基準値の適用期間を2019年12月31日までとし、2020年1月1日から10.0g/kWhが適用されています。この内容を規定した規定書及び試験法の改正版は平成31年4月1日に発行されました。
「小形汎用火花点火エンジン排出ガス自主規制(3次)」は刊行物として販売中です。
汎用ディーゼルエンジン
訂正:2013年6月5日
2006年1月より規制を開始し、現在は下記が適用中です。
出力(kW) | 規制基準値(g/kWh) | スモーク(%)注1 | 試験モード | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
NMHC+NOx | CO | PM | アクセル | ラグ | ピーク | ||
8未満 | 7.5 | 8.0 | 0.4 | 20 | 15 | 50 | 可変速6モード 一定速5モード |
8以上、19未満 | 7.5 | 6.6 | 0.4 | 20 | 15 | 50 |
- 一定速度用エンジン及び1シリンダーエンジンにはスモーク規制を適用しません。
「19kW未満汎用ディーゼルエンジン排出ガス自主規制―規定」は刊行物として販売中です。
自主規制の実績(集計結果)
更新:2024年4月1日
2023年1月から12月までに日本国内市場向けに生産されたエンジンから排出された主要な排出ガス成分の排出量実績は以下の通りです。なお、「排出量実績」は当該年度において日本国内向けに出荷された小形汎用エンジンから1年間の間に排出される排出物の総量を陸内協が定めた方法で分析し、算出したものです。報告の内容については以下のリンクを参照して下さい。
汎用火花点火エンジンの実績
炭化水素及び窒素酸化物排出量【HC+NOx】
ガソリンエンジンの実績総排出量は1,712トン(前年比88%)です。自主規制導入前(2000年)の実績に較べると、74%削減されたことになります。
ディーゼルエンジンの実績
炭化水素及び窒素酸化物排出量【NMHC+NOx】
ディーゼルエンジンの実績総排出量は398トン(前年比94%)です。自主規制導入前(2003年)の実績に較べると19%削減されたことになります。
粒子状物質排出量【PM】
ディーゼルエンジンの実績総排出量14トン(前年比93%)です。自主規制導入前(2003年)の実績に較べると59%削減されたことになります。