我が国の排出ガス規制では、「大気汚染防止法(大防法)」基づいて工場や事業場での諸活動から発生する排出ガスを規制し、自動車から排出される排出ガスレベルの設定を行うことになっています。
陸内協ではエンジンに関連した環境問題への対応に向けて幅広い活動を行っています。ここではエンジンからの排出ガスの削減にかかわる国の施策と陸内協での活動を紹介します。
我が国の排出ガス規制の概要
いろいろな用途に使われているエンジンに対し、その使い方に合わせた排出ガス低減の方策がとられています。エンジンの使用される目的全体から排出ガス規制の有無とそのレベルを設定する法規は次のような状況です。
| 使用目的 | 定置用 (大規模) |
定置用 (小規模) |
陸用 (搭載用) |
自動車 | 鉄道 | 航空機 | 船舶 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 法規制の有無 | あり | なし |
別途記載 | あり | なし | なし | あり |
| レベル設定 | 大防法 | 別途記載 | 大防法 | IMO |
陸用エンジン(定置用)に適用される排出ガス規制
工場や事業場で使われるエンジンは、工場設備として設置されるので「定置用エンジン」と呼ばれますが、このエンジンのうち、規模の大きなものが大気汚染防止法に基づいて下表のように規制されています。(ばいじんの規制値は省略)なお、定置用に対しては一定の条件を満たした場合、都道府県等の地方自治体により規制値の低減。規制対象の拡大などの規制強化が追加設定されます。
大気汚染防止法による定置用エンジンへの規制値
| 種別 | シリンダー内径 | 燃料の燃焼能力 (リットル/時間) |
NOX規制値 |
|---|---|---|---|
| ガス・ガソリン機関 | - | 重油換算35以上 | 600ppm(O2=0%) |
| ディーゼル機関 | 400mm以上 | 重油換算50以上 | 1200ppm(O2=13%) |
| 400mm未満 | 950ppm(O2=13%) |
なお、定置用(小規模)については、強制法規ではないものの、国は平成8年より低NOX機器の判定基準としてのガイドラインを定めています。ガイドラインの対象となっている機器の内、エンジン及びエンジンを使う機器については陸内協において積極的にこの制度が普及推進するよう協力しています。なお、GHP(ガスエンジンを動力源とするヒートポンプ式の冷暖房機)のガイドライン活用の活動状況を下記の資料に取りまとめました。
小規模低NOX機器の判定基準
| 使用機器 | エンジンの種類と燃料の燃焼能力 | NOX推奨値 |
|---|---|---|
| GHP以外 | 燃焼能力重油換算35リットル/時間未満のガスエンジン | 300ppm(O2=0%) |
| GHP | 燃焼能力重油換算10リットル/時間未満のガスエンジン | 100ppm(O2=0%) |
「陸用エンジン」のうち、何かの機械に取り付けられて、すなわち搭載されて、その機械の作業と機械の移動の原動力として使われるエンジンからの排出ガスに対する扱いは次項(陸用エンジン(搭載用)に適用される排出ガス規制)に取りまとめます。
その他に、エンジンは鉄道や航空機、船舶に使われます。そのうち、船舶のエンジンからの排出ガスに対しては「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」により国際約束、つまり国際海事機関(IMO)の策定する基準に基づいて規制されることになっています。
陸用エンジン(搭載用)に適用される排出ガス規制
何かの機械の原動力として、その機械に搭載されているエンジンの排出ガス規制は、その搭載される機械の規模や性質によって排出ガスを規制する方法が異なります。エンジンからの排出ガスの量などは、使う機械の運転される様式で変化するものであり、実情に合わせた最も効果的な排出ガス規制が必要であるからです。
| 搭載機械 (使用される機械) |
陸用エンジン(搭載用) | 自動車 | ||||
| 可搬形機械 (携帯形、非携帯形) |
公道を走行しない | 公道を走行する | ||||
| 19<kW | 19≧kW | 19<kW | 19≧kW | |||
| レベル設定 | なし | なし | 大防法 | なし | 大防法 | 大防法 |
| 規制法規 | なし | なし | オフロード法 (特定特殊自動車として) |
なし | 車両法 (特殊自動車として) |
車両法 (普通自動車、小型自動車、軽自動車など) |
| 陸内協 自主規制 |
対象 | 対象 | なし | 対象 | なし | なし |
我が国の法律では、搭載されたエンジンによって陸上を移動するものを自動車と呼ぶことになっています。一般の自動車(普通自動車、小型自動車、軽自動車)以外の特殊自動車や特定特殊自動車等の自動車に搭載されるエンジンと、可搬形機械に使うエンジンをここでは陸用エンジンと呼びます。
特殊自動車とは、農業用のトラクターとか、フォークリフトのような一般の公道を走行することもある自動車です。特定特殊自動車には一般の公道を走行しないブルドーザーとか、クローラーで走行するクレーンなどがあります。現在出力が19kW以上のエンジンを使う特殊自動車と特定特殊自動車とは、大気汚染防止法に基づいて排出ガス規制の基準値が定められ、特殊自動車に搭載される場合は道路運送車両法で、また特定特殊自動車に搭載される場合は特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律で取り締まられることになっています。
また、出力8kW以上のディーゼルエンジンを使う建設機械に対し、国土交通省直轄工事においては排出ガス対策型建設機械指定制度で指定された建設機械の使用することが原則とされています。
刈払機やチェーンソー、携帯発電機やエンジン空気圧縮機、エンジン溶接機などエンジンを動力源とする可搬形機械に使われているエンジンは大防法(大気汚染防止法)や車両法(道路運送車両法)及び特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)の規制対象ではありません。また、上記の特殊自動車と特定特殊自動車に搭載されるエンジンであっても、その出力が19kW未満のものは大防法や車両法及びオフロード法の規制対象ではありません。
そこで陸内協では、これら19kW未満のガソリンエンジンに対して2003年より、同じく19kW未満のディーゼルエンジンに対しては、2006年より、欧米で適用されている排出基準レベルを使った自主規制を実施しています。






