陸用エンジンに適用される我が国の排出ガス法規制
我が国の法規制の構造
陸用エンジンの内、移動発生源であるものに適用される我が国の法規制は次の表の着色部です。
| 搭載機械 (使用される機械) |
陸用エンジン(搭載用) | 自動車 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 可搬形機械 携帯形・非携帯形・発電機・圧縮機 |
公道を走行しない | 公道を走行する | ||||
| 出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
|||
| レベル設定 | なし | なし | 大防法 | なし | 大防法 | 大防法 |
| 規制法規 | なし | なし | オフロード法 (特定特殊自動車として) |
なし | 車両法 (特殊自動車として) |
車両法 (普通自動車、小型自動車、軽自動車など) |
| 陸内協自主規制 | 対象 19kW未満 |
対象 19kW未満 |
なし | 対象 19kW未満 |
なし | なし |
凡例:
=我が国の法律、すなわち大防法に基づく基準に対して、車両法又はオフロード法で規制されるエンジン
搭載用の陸用エンジンの排出ガスに対する排出基準は、一般の自動車と同じく大気汚染防止法(略称:大防法)に基づいて環境大臣が定めることになっています。この排出基準については、環境基本法に基づいて設置されている中央環境審議会が「排出ガス低減対策のあり方」として環境大臣に答申した内容により定められることになっています。
我が国で法規制の対象となる陸用エンジンは「特殊自動車」と「特定特殊自動車」です。「特殊自動車」とは、ショベルローダ、タイヤローラ、ロード・ローラ、グレーダ、ロードスタビライザ、スクレーパ、ロータリ除雪自動車、アスファルトフィニッシャ、タイヤドーザ、モータスイーパ、ダンパ、ホイール・ハンマ、ホイールブレーカ、フォークリフト、フォークローダ、ホイールクレーン、ストラドルキャリヤ、ターレット式構内運搬自動車、その他の指定構造の自動車であると道路運送車両法に定められていますが、普通自動車、小型自動車、軽自動車などではない自動車と言うこともできます。「特定特殊自動車」とは、特殊自動車と同じように搭載されたエンジンで移動するものでありますが、道路での使用を目的としない、すなわち、道路外での使用を目的とする機械です。該当する機械に取り付けられたエンジンで目的とする作業を行うとともに、そのエンジンが取り付けられた機械自体を動かすのが特徴です。
規制を制定する場合には、中央環境審議会の答申に基づいて環境大臣が特殊自動車や特定特殊自動車を一定条件で使用する場合にエンジンから大気中に排出される排出ガスの量の許容限度の基準を定め、特殊自動車に対しては道路運送車両法(略称;車両法)により、また特定特殊自動車に対しては特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(略称:オフロード法)により、技術上の基準を定めて、これらの自動車を規制します。
陸用エンジンからの排出ガスに対する法規制
平成15年答申による規制
中央環境審議会は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンとガソリン又はLPGを燃料とする火花点火エンジンを搭載する特殊自動車及び特定特殊自動車のうち出力19W以上560kW未満のエンジンからの排出ガスを規制するよう平成15年6月に環境大臣に答申しました。これを元にこれらのエンジンから大気中に排出される排出ガスの量の許容限度が平成18年(2006年)3月に告示されました。
規制については、道路運送車両法に基づいて試験方法の詳細などを決める「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(略称:細目告示)」が平成17年(2005年)12月に改正され、ガソリン又はLPG特殊自動車等に適用される「別添103 ガソリン・液化石油ガス特殊自動車7モード排出ガスの測定方法」が新たに制定されました。なお、ディーゼル特殊自動車等に適用される「別添43 ディーゼル特殊自動車8モード排出ガスの測定方法」は平成15年9月に告示されたものがそのまま適用されます。
同時に、道路運送車両法(車両法)」に基づいて平成17年(2005年)12月に告示された「道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」によりディーゼル特殊自動車及びガソリン・液化石油ガス特殊自動車の規制適用が、また、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」にもとづいて平成18年(2006年)3月に告示された「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関して必要な事項を定める告示」によりディーゼル特定特殊自動車及びガソリン・液化石油ガス特定特殊自動車の規制適用が制定され、また、試験法に関して、ディーゼル特定特殊自動車には細目告示別添43が、また、ガソリン・液化石油ガス特定特殊自動車には細目別添103が適用されることが定められました。下記が定められた規制の概要です。
| 種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | ディーゼル黒煙 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CO | HC | NOX | PM | ||||
| ディーゼル特殊自動車及び 特定特殊自動車 (8モード) |
19kW以上37kW未満 | H19(2007)10月1日 | 5 | 1 | 6 | 0.4 | 40% |
| 37kW以上56kW未満 | H20(2008)10月1日 | 5 | 0.7 | 4 | 0.3 | 35% | |
| 56kW以上75kW未満 | H20(2008)10月1日 | 5 | 0.7 | 4 | 0.25 | 30% | |
| 75kW以上130kW未満 | H19(2007)10月1日 | 5 | 0.4 | 3.6 | 0.2 | 25% | |
| 130kW以上560kW未満 | H18(2006)10月1日 | 3.5 | 0.4 | 3.6 | 0.17 | 25% | |
| 種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | |||
|---|---|---|---|---|---|
| CO | HC | NOX | |||
|
ガソリン又はLPG特殊自動車及び 特定特殊自動車 |
19kW以上560kW未満 | H19(2007)10月1日 | 20 | 0.6 | 0.6 |
平成20年答申による規制(その1:2011~2013年適用開始)
平成20年(2006年)1月に中央環境審議会が答申した出力19W以上560kW未満のディーゼルエンジンを搭載する特殊自動車及び特定特殊自動車の排出ガス規制については、そのうち、下記のエンジンから大気中に排出される排出ガスの量の許容限度が平成22年3月に告示されました。この改正で、炭化水素に対する排出基準は非メタン炭化水素に対する基準に変更され、試験モードとしては、定常の8モードに加えて、過渡状態を試験するNRTCモードを適用して、暖機状態で始動した場合の試験結果と冷機状態で始動した場合の試験結果とを重みをつけて加算する方法が採用されました。
規制については、道路運送車両法に基づいて試験方法の詳細などを決める「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(略称:細目告示)」が平成22年(2010年)3月に改正され、全面改正された細目別添43「ディーゼル特殊自動車排出ガスの測定方法」が適用されることになりました。
我が国の方針では、「我が国の環境保全上支障がない範囲内において、可能な限り基準等の国際調和を図ることが望まれている。したがって、現在、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(UN-ECE/WP29)において進められている試験方法等の国際基準調和活動に積極的に貢献し、可能な範囲で、国際的な基準調和を図るべき」とされています。このたび制定された改正別添43は、国連において検討されてきた世界技術基準(Global Technical Regulation No.11)に基づいた内容です。国連において策定を進められている大型車の排出ガス試験方法、OBDシステム、オフサイクル対策及び二輪自動車の排出ガス試験方法等に先だって我が国の法令として最初に取り入れられました。
これと同時に、道路運送車両法(車両法)」に基づいて平成22年(2010年)3月に告示された「道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」によりディーゼル特殊自動車の規制適用が、また、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」にもとづいて、同じ平成22年(2010年)3月に告示された「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関して必要な事項を定める告示」によりディーゼル特定特殊自動車の規制適用が下記のように制定されました。
| 種別(測定法) | 適用日 | 規制基準(g/kWh) | ディーゼル黒煙 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CO | NMHC | NOX | PM | ||||
| ディーゼル (8モード定常及びNRTC過渡) |
19kW以上37kW未満 | 2013年10月1日 | 5 | 0.7 | 4 | 0.03 | 25% |
| 37kW以上56kW未満 | 2013年10月1日 | 5 | 0.7 | 4 | 0.025 | 25% | |
| 56kW以上75kW未満 | 2012年10月1日 | 5 | 0.19 | 3.3 | 0.02 | 25% | |
| 75kW以上130kW未満 | 2012年10月1日 | 5 | 0.19 | 3.3 | 0.02 | 25% | |
| 130kW以上560kW未満 | 2011年10月1日 | 3.5 | 0.19 | 2 | 0.02 | 25% | |
平成20年(2008年)答申による規制(その2:2014~2015年適用開始)
平成20年1月に中央環境審議会が答申した出力19W以上560kW未満のディーゼルエンジンを搭載する特殊自動車及び特定特殊自動車の排出ガス規制については、2011~2013年達成の目標に加えて、2014~2015年達成を目標とした下記のものも含まれています。
| 種別(測定法) | 開始時期 | 規制基準(g/kWh) | ディーゼル黒煙 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CO | NMHC | NOX | PM | ||||
| ディーゼル (8モード定常及びNRTC過渡) |
56kW以上75kW未満 | H27(2015) | 5 | 0.19 | 0.4 | 0.02 | 25% |
| 75kW以上130kW未満 | H27(2015) | 5 | 0.19 | 0.4 | 0.02 | 25% | |
| 130kW以上560kW未満 | H27(2015) | 3.5 | 0.19 | 0.4 | 0.02 | 25% | |
しかし現在のところ、該当する環境省令や国土交通省令で公布されておらず、この目標はまだ法令として定められたものとはなっていません。
建設機械からの排出ガス排出に適用される規制
国土交通省直轄工事においては排出ガス対策型建設機械指定制度で指定された建設機械の使用することが原則とされています。対象となるのは出力8kW以上のディーゼルエンジンを使う建設機械です。制度の詳細は、国土交通省告示及び関連団体などへの通達で定められています。
| 搭載機械 (使用される機械) |
陸用エンジン(搭載用) | 自動車 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 可搬形機械 携帯形・非携帯形・発電機・圧縮機 |
公道を走行しない | 公道を走行する | ||||
| 出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
出力 19kW未満 |
出力 19kW以上 |
|||
| レベル設定 | なし | なし | 大防法 | なし | 大防法 | 大防法 |
| 規制法規 | なし | なし | オフロード法 (特定特殊自動車として) |
なし | 車両法 (特殊自動車として) |
車両法 (普通自動車、小型自動車、軽自動車など) |
| 建設機械 指定制度 |
ディーゼル 8kW以上 |
ディーゼル 8kW以上 |
ディーゼル | |||
| 陸内協 自主規制 |
対象 19kW未満 |
対象 19kW未満 |
なし | 対象 19kW未満 |
なし | なし |
| 建設機械指定制度適用対象を除く | ||||||
凡例:
=我が国の法律、すなわち大防法に基づく基準に対して、車両法又はオフロード法で規制されるエンジンを示す。
=排出ガス対策型建設機械指定制度の対象となるエンジンを示す。
=オフロード法の規制対象となるエンジンは、建設機械指定制度の対象とならない。






